『日没』(桐野夏生・岩波書店)を読むきっかけとなたのは、岩波書店の「たねをまく」に掲載の『思想』2020年11 月号【特集】桐野夏生の小説世界を見てからのこと。
『思想』2020年11 月号 【特集】桐野夏生の小説世界
上記のページに掲載の解説はかなり深く分析してあります。特にご興味ある方はご一読ください

 ストーリーは、ごく普通にエンタメ小説を書いている女性作家のもとに、政府系機関から突然の召喚状が舞い込むところから展開します。収容所と呼ぶにふさわしい施設では所長より「社会に適応した小説」を書けと言われてしまいます。

軟禁された状況下での主人公の葛藤が、生々しく迫ってきます。

政府系機関らしき「文化文芸倫理向上委員会」名義で送られてくる「召喚状」は、普通の市民からの投書が発端となっているところが、これまた空恐ろしさを感じさせるような設定となっています。

政権の意にそぐわない考えの持ち主は「排除」すると言ってはばからないこの国の首相のコメントと重ね合わせてみれば、いっそう現実味を帯びてきそうなストーリ展開と感じました。